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2013年初舞台(観劇)は、
「祈りと怪物 ~ウィルヴィルの三姉妹~」の蜷川verです。

直前まで自分のスケジュールでどこが空くのかがわからなかったので
ホントに行けんのかな、って思ってたんだけど、
なんとかなりましたね。ほっ。
今回の作品の上演時間は4時間20分。合間に休憩が2回。
自分の体調のことも心配だったけど、これもなんとかなりました。ほっ。

と、いうか。
全く長くなかった。4時間半、あっという間でした。

脚本がとにかくKERAワールド全開で、
これKERAバージョンも見ておくべきだったな、と後悔しつつ、
KERAさんの本を蜷川さんが演出すると、こうなるんだ、という
面白い感覚になりました。
まぁこれは野田さんの時も、岩松さんの時も、まぁ全部そうなんだけど、
癖のある脚本を、蜷川節という絶対的な腕力で引っ張ると、
すごく不思議な化学反応(©秋π先生)が起こる。
凄まじい力と凄まじい力のぶつかり合いを間近で体感できる嬉しさ。

ただ、蜷川さんの演出は最近富に毎回似たようなパターンになってきたな、
とは思うんだよね。
まぁ元々カラーの強い人だしずっと似たようなもんだと言ったらそうなんだけど。
でもさ、コクーンの場合は絶対最後、舞台裏の扉あけるでしょ 苦笑
あとラップみたいなやつ。このふたつはちょっともう良いかなぁ。

だけど、第3幕が開けた最初かな、
白と黒のリボンを使ったあの演出は、ぞくっとした。
観客席から見てちょうど黒と白でバッテンになるように、
舞台の上から斜めに吊るしただけなんだけど。(って、説明が下手だね…)
ああいうリボンの使い方をするんだ、
ああいう空間の使い方をするんだ、と。
これぞ、蜷川さんの骨頂だな、と思う。
色の挿し方、舞台の上の空間の使い方。

豪華キャストだったし皆さんすごいのだけど、
とくに終始気迫が凄まじかったドン・ガラス(勝村政信)の演技が素晴らしくて。
うーん、蜷川舞台における勝さんの安心感、絶対感ったらないね。
しかも、見るたびにパワーアップされていて、
今回はもう、尋常じゃないものを見せて頂いた。

そして、もう一人。
この人のことを書かないとこの芝居の感想を言ったことにはならない。
そう、主役のトビーアス、森田剛。

第2幕でトビーアスの独白があるんだけど、
これがもう、一気に引き込まれた。息を飲んだ。

この人は、何もない舞台に景色を生み出せる人だ。
トビーアスの今まで背負ってきた感情、過去、
そして今見つめている世界、取り囲まれている現実、
抱えている葛藤、不安、希望、
そのすべてが台詞ひとつ、挙動ひとつで体現される。
苦しいぐらいに目の前にいるトビーアスが自分の体内に入ってくる。
圧迫死してしまいそうになる。

それまで、KERAワールドだな、KERAワールドだなと思っていたけど
一気に、森田剛のそれに、
そして、ああ、蜷川の舞台だな、と考えを改めた。

あんな芝居を見れたこと。
わたしの人生の誇りのひとつになりました。



ちなみに…彼は本当に素晴らしい役者さんだとわたしは思っていて、
アイドルとしての彼は殆ど知らないのだけど、
毛利元就に出てた時も、民法のドラマに出ていた時も、
あと、V6全員を主演に据えたオリジナル映画を見ても、
とにかく、凄い演技者だな、と思ってた。
特に演技者。での「マシーン日記」(大人計画の芝居のドラマ化)と、
「激情」(ポツドールの芝居のドラマ化)。
これでその思いは確信に変わった。
そのあとDVDを借りて見た「コズミック・レスキュー」と、
そのあともういっこの映画、なんだっけ、SABUが監督したやつ…
ホールドアップダウン!
これがまた、森田剛一人ずば抜けて凄いんだよ。
世間はV6と言ったら「岡田くん」なんでしょう?
岡田くんも勿論上手なのだけど、個人的にはそのV6映画を見てしまったので、
2人の芝居を一度に見ると、どうしたって、差がある。
好みの問題、だと言われるかもしれないけどそこは全力で否定したい。
演技に関してわたしは好み云々で判断したことは一度もない。
そのぐらい、芝居に対して嘘はつかない。

話が逸れました、で、彼のことはずっと凄いと思ってたんだけど、
なかなか評価があがらない。
世間でもほとんど「演技が上手い」なんて聞こえなかったし、
話題になるのはもっぱら某女優さんの彼氏、としての彼ばかり。

もどかしいなぁ、森田剛にはもっともっと芝居をして欲しい、
勿論爽やかな青年役もだし、汚れ役とか、ひどい悪役とかいくらでも出来る。
もし汚れ役をするのにジャニーズ事務所が邪魔になるのなら、
いっそあの事務所を辞めてほしいとさえ思ってた。

そんな時、新感線の芝居に出るという話を聞き、慌てて青山劇場に行く。
宛書きの効果もあったのかもしれないけど、
バチッとこなしてやっぱりこの人は芝居が上手だ、と思ったと同時に
ばりばりアイドルなカーテンコールに反吐が出た。
周りがアイドル扱いして、本人もそのつもりじゃ、何も変わらない。
その後もう一回新感線に出て、それも文句なくとても良かったけど、
そのアイドル然とした振る舞いに、なんとなく消化不良だった。

そして、ついに蜷川舞台に森田剛が出るという。
しかも共演に窪塚洋介、寺島しのぶ。
素晴らしい布陣だ。
窪塚さんは独自の誰も真似できないセンスを持った素晴らしい役者さんだし、
寺島しのぶちゃんは、その奥底から吹き出すような感情を表現できる
物凄い女優さん。
いい演技には、いい役者が必要だ。
相手側がいい演技をすれば、それに呼応して自分もそれ以上の演技をして、
そうしたらそれに呼応してまた相手もそれ以上の演技をして…
最大の期待を胸に、コクーンに向かう。

素晴らしかった。

驚く程に、今まで一度も見たことのない森田剛がそこにいた。
でも、そこにいる森田剛は、もう何十年も舞台を踏んできた程に、
馴染んでもいた。
更に、カーテンコール時も、ただお辞儀をするだけで、
今まで見た「アイドル」っぽいものではなく普通の「芝居」のそれだった。
(観客席はまだファンっぽい人が場違いな空気を出しまくっていたけど)

想像以上だった。
自分を恥じた。
これほどだったのか、と思った。

蜷川さんの凄いところは、
今までの演技論とか自分の癖という殻を一度破りまくり、
そしてまっさらにしてから高みに飛ばせる能力だと思うんだけど、
俳優の持ち味を最大限以上に引き出してくれるところでもああると思う。

これは、もっと高く飛ぶ。
蜷川さんや、他の演出家さんの舞台をもっと経験したらもっと掴んで
わたしが考えてもいない場所まで飛ぶ。
そういう役者さんだなと思った。

だから、あの時の衝撃があったから、
今回の芝居は、どうしても見たかったんだ。
冒頭でも書いたけど、自分の体調や、他の予定もあってどうなるかと思ったけど、
本当に、観れて良かった。

願わくば、また更なる高みを。


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東京都出身。現在は都内某歓楽街の横にひっそり住んでます。
好きなものはメジャーカルチャーとサブカルチャーの狭間にたたずむもの。
偽善はきらい。そして散財家です。

ブログのタイトルはTHE BOOMのアルバムにも入っていない曲から。
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