GOD? OUR NATION? YOU? OR ME?
豊田利晃監督の最新作「I'M FLASH」。
豊田さんはわたしのサブカル時代を支えた一人。
「ポルノスター」は思春期のわたしには衝撃でした。
その後、松本大洋の「青い春」の実写を、
当時付き合っていた方と公開初日にわくわくしながら観に行き
ドーンと奈落に突き落とされるんだけど。
(世間では評判すげぇ良いんだよね~・・・謎すぎる)
青い春でも思ったんだけど、豊田さんってすごいアンバランスなんだよ。
それは結構悪い意味で。
ポルノスターは、曲がりに曲がってそのアンバランスさが活きてる気がするけど、
もしかしたらそれはむしろ珍しいことなのかもしれない。
と、今回の作品を見て思った。
意味があるんだかないんだかわかんない設定。
同、ストーリー展開。
そして異常なまでにカッコイイ音楽。(チバさんとか中村さんとかもう!)
が見事にアンバランス。ものすごくね。
でも、それが豊田ワールドだし、何故かカッコイイ。
(今回は音楽だけでぐわっと持っていったぐらい音楽は凄すぎだったけど)
生というものに対して突き放して客観視してるはずのルイ(主人公)が
本当は誰よりも死を恐れ、生きようとしてる様。
ルイは神だ。
誰かの手のひらの中で踊らされ役に立たなければ容赦なく切り捨てられる。
それでも尚生きようともがく滑稽な神。
いや、神なんかじゃない。
ルイは知ってる。
神などいないんだ。この世にも、どこにも。
でも、悪魔はいる。
この世は悪魔だらけだ。
気を許したら悪魔の手にかかる。
愚者を気取ってるルイの兄はそれを知っている。
愚者は頭が回らなければ成れない。
すべてを察知しているからこその愚者なのだ。
兄はルイに忠告する。
だけどこの世とは得てして非情。もがけばもがくほど、うまくはゆかない。
・・・・・・・・・・・・・そんな感じ。の映画。
って意味わかんないよね、でもそんな感じの映画でした。
生(死)に対し割り切れなさを露わにしていた殺し屋が
真っ先に頭を撃たれるのはこの世の常。なのかもしれないね。
この感じ、ピシャッとくる人はくるんじゃないかな。
まぁ、それは結構ごく少数だと思うけど。
それにしても、豊田さんは不器用だし正直だ。
ホリプロの役者(藤原竜也)をメインに据えるかわりに
ホリプロに金を出してもらって作った今作。
いやいや、竜也がびっくりするほど浮いている。
まぁ、藤原くんは結構どこでも浮がちなので珍しいことではないんだけど
ただこれまではその「浮きっぷり」というのは
最終的にとにかく「役者・藤原竜也」を見せつけられるというか
圧倒的に、芝居でかっさらっていく面があった。
でも今回は・・・・
彼の芝居は良かったと思う。
豊田さんの言う「蜷川さんの呪い」をずいぶん解いてもらったような芝居だった。
ただ、画面(えづら)的に、違和感を感じてしょうがなかった。
と同時に、豊田さんはほんっっとに龍平が好きなんだなぁとも。笑
個人的にはB太(永山絢斗)と北村(有起哉)さんがとてもよかった。
それにしてもサラッとYahooでレビューを見たら酷評の嵐で笑えてしまった。
で、酷評してる人の意見で必ずあるのが、
心臓撃たれてんのに軽やかに走るわ泳ぐわだとか、
植物人間だった女が急に起きて何もなかったかのように窓辺に立つとか
そういう「アリエナイ」描写について。
わからなくはないけれど、
でもそこはこの映画での重大なポイントではない気がする。
というか、映画とか、ドラマとか、漫画とか、
最近観客はリアリティリアリティ言い過ぎ。
リアリティがあるものを見たいならドキュメンタリーを観よ、
いや、ドキュメンタリーだってニュースだって結局伝える側の意思が入っていて
所詮リアルなんかじゃないんだから、
日常で何か見つけてくれよ。
と思う。心底。
何かを感じ取れたらラッキー。感じ取れなければそれまで。
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