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そういえば、髑髏城の感想を書いていなかった。
twitterで毒を吐きまくったのでそれで満足していましたが
いちおう留めておこう。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

劇団☆新感線の「髑髏城の七人」の再演@青山劇場、
9月17日のマチネに行って参りました。

わたしの演劇人生において、ベスト3を挙げよと言われたら
すごーくすごーく悩むけれど、

・笑の大学(三谷幸喜)
・サンタクロースが歌ってくれた 1997ver(演劇集団キャラメルボックス)
・髑髏城の七人 1997ver(劇団☆新感線)

かな、と思う。

要するにそれくらい髑髏城ってのは大事な大事な作品。
で、今回、その演目を、いつもの劇団主要メンバーではなく、
芸能界の一流スターたちを敷き詰め再演するという。

1)古田新太演ずるチャラい女ったらしでもやるときゃやる捨之介を小栗旬くん
  古田さんが二役で演じていた悪の天魔王を、森山未来くん
2)粟根さんの蘭兵衛は商業演劇界の美彩・早乙女太一くん
3)ちゃきちゃきの元気っ子&本作のヒロイン・沙霧は、仲里依紗ちゃん
4)色気と肝っ玉とすべてを兼ね揃えた極楽太夫は小池栄子ちゃん
5)バカだけど良い奴(笑)・兵庫は勝地の涼くん
6)刀のことは俺に任せろ・贋鉄斎にはようやく登場新感線の看板・高田聖子さん
7)裏切ることだけは天下一品の三五は、もうこの人しかいない河野まさとさん

・・・・7人揃った?(疲れた。)
とにかく、上記見てもらえればわかると思うけど、とにかくスター揃い。
え?河野さん?ああそこは気にしなくていいから。

で、わたし、この話を聞いて、とても困惑した。
旬くんの良さは重々実感してる。舞台で見る彼は最高にカッコイイ。
でも、捨之介は古田さん以外に考えられなかった。
そして天魔王を切り分けたということに関しても。
とにかく、とても困惑し、そして怖くて、チケットはとらなかった。

でも、やっぱり直前になってどうしても見たくなって、
世紀の瞬間を見てしまうかも!!!
とかなりわくわくしながら青山劇場に向かったわけですけども。


てか、どうでもいいけど、でかっ。青山劇場。
いや、何度も来ている小屋だけど、
どうしても髑髏城はサンシャイン劇場のイメージがあるからさ、やっぱでかいよね。

で、客席見渡すと、なんかオペラグラス持ったオバチャンが多っ!!笑
これは・・・いつもと客層が違いますよ。
まぁ、でも、そうよね、こんな豪華なキャストじゃね。



・・・・・・・・・・てどうでもいい話は置いといて。

簡潔に言おう。

期待とは裏腹に、この芝居、非常に面白くなかった。
幕間でわたしは帰りたくなったぐらい面白くなかった。


察するに、

・大幅な脚本改定によりずいぶん間延びした印象
・捨之介と天魔王を分けたことにより、また旬くんの芝居も関係してくるのだけど、
 捨之介に深みがぜんぜんなかった
・ヒロイン・沙霧の出番が少なすぎ
・贋鉄斎の見どころ=城内部で戦う時の刀磨きなのに、その役目は兵庫に
・兵庫、ちょっとうるさいだけだった
・蘭兵衛が耽美すぎる
・じゅんさんがいないせいかコールアンドレスポンスがなかった
・ってゆうか、演者さん全体的にハメをハズしてなかったように思う
・ってゆうか、全体的に緩急がなかった
 (キメるところはキメ、ハズすところはとことんハズすのが新感線の良さなのに)

という感じ。

とにかく、大幅に脚本が変わっていて、役それぞれの心情を丁寧に書きすぎたせいで、
また役の見どころの分散させすぎて、テンポが非常~~~~~に悪かったし、
客側が役に入り込む余地を与えてくれなかった。
役者も、綺麗に演じる方ばかりで、ドロドロした感情を読み取ることは出来ず、
また、滑稽さ(お笑い要素)も全くなかった。
薄い、というか細い、そんなお芝居だった。

もう、かずきさんもいのうえさんも演者さんたちも全部駄目。
駄目じゃなかったのは唯一、天魔王(森山未来)と、
三五(この人だけ昔からずーーっと同じ配役)だけ。

・・・天魔王は正直、期待してなかったんだよね。
でも良かった。
天魔王ってのは捨之介より段違いで強くなくちゃいけない。
過去は、古田さんが捨之介と二役で、
捨之介と天魔王が戦うシーンは、
新感線の殺陣の先生でもある川原正嗣さんが覆面をかぶって演じていたから、
とにかく、殺陣がハンパなくて、圧倒的に強かった。
だけど今回の未来くんも、旬くんより、そして誰よりも強く見えた。
今までは描かれなかった天魔王の詳細も、ちょっとどこか狂った感じで演じていて、
天魔王の悲しみみたいなのも感じて、見ていてとても入り込んでしまった。
森山未来が演劇界でやたらめったら評判良いの、わかった気がするよ。

というか、今回のキャストは、みんな演劇界で評判良い人たちばかり。
旬くんだって早乙女くんだって勝地だってみんな素晴らしい役者さん。
でもそれなのに、不満が残った。
自分でも見ていてびっくりだった。
・・それくらい、オリジナルメンバーの色が濃かった、ということかな。

幕間、隣に座っていた新感線ファンカップルが「物足りない」と言っていた。
「(演者が客を)裏切ることに対し躊躇いがある」と。
うむ、良い表現。


髑髏城は、最後、ひとりずつ決め台詞を言って歌舞伎役者の如くはけていくのだけど、
そのはけていく際、拍手をするのが通例なのですが、
観客がほとんどスターたちのファンだったので誰も拍手しなくて、
わたし、頑張りました。率先して拍手しました。
青山劇場・・・・でかいから辛かったよ(涙 
つーか他新感線ファンもわかってるだるぉうがぁ!! 拍手せいやっっ!!


・・・帰り道、キャラメルボックスて実はすげかったのかな、と思う。
昨年末、サンシャイン劇場で再演された「サンタクロースが歌ってくれた」のこと。


新感線と時期を同じくして小演劇界を支えていた劇団。
10年以上経った今、その絶頂期の芝居を再演する。

新感線は、絶頂期を支えたオリジナルメンバーではなく、
今一番光っている役者さんたちを集め、
脚本も、かつては出来なかったことを詰め込んで、再演した。

キャラメルは、脚本を全く変えず、
退団してしまった主要キャストを「客演」として据え置き、再演した。
ファンの思い出を、老体に鞭打って蘇らせてくれた。
しかも、まるでずっとそこにいたかのように。


本来は、新しく塗り替えるべきだとは思う。新感線のように。
創作者なら、そうであろうと思う。

でも、ファンのことを考えたら、キャラメルのやり方ってのは間違いじゃなかった。


同じ演目、同じ劇場、同じ冬、12月に、そして、同じキャストで。
脚本の変更点なんて、千円札が夏目漱石だったのが、野口英世に変わったぐらい。笑


高校生のわたしに戻れた。
でも、28歳のわたしもそこにいた。

10年前の自分と、今の自分がシンクロした。

帰り道、ほんとうに不思議だった。そして、嬉しかった。


・・・とにかく。
やっぱり新感線は、聖子さんがカッコ良くて、じゅんさんが愛らしくあるからこそ、
だと思う。

最近、多くの劇団は必ず有名ドコロを「客演」に入れるけれど。

たまには、オリジナルメンバーでオリジナルの脚本で、やってくださいな、
としみじみ思います。
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東京都出身。現在は都内某歓楽街の横にひっそり住んでます。
好きなものはメジャーカルチャーとサブカルチャーの狭間にたたずむもの。
偽善はきらい。そして散財家です。

ブログのタイトルはTHE BOOMのアルバムにも入っていない曲から。
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